絵コンテを読む。
アニメーションを制作する上で欠かせない、基礎となり”設計図”とも呼ばれる「絵コンテ」。
スタジオジブリでは、ひとつの作品につき何百枚と描かれる絵コンテを1冊の本にまとめた「絵コンテ全集」を出版しています。
最新作『君たちはどう生きるか』の絵コンテ発売に合わせ、宮﨑駿監督の描く絵コンテについてご紹介いたします。
絵コンテとは
絵コンテには、絵やストーリー、キャラクターの性格や心情、動き、台詞、カメラの動き、カットの長さなど、映画を作る上で必要な情報が書かれています。特に宮﨑監督の絵コンテは、拡大するとそのままレイアウト(※)として成立してしまいそうなほど、詳細に書き込まれた絵コンテとなっています。
スタッフはその絵コンテを基にして、1本の映画を作っていきます。
※レイアウトについて、詳しくはこちらををご覧ください
キャラクターの内面、演出を伝える
作画スタッフへの指示として、直接的な動きや表情だけではなく、キャラクターの心情や内面を説明していることも少なくありません。
そうすることで、そのシーンを描くそれぞれのアニメーターの絵に”気分”がうまれるのです。
また、宮﨑監督の絵コンテは「演出」に関する比重がとても多くなっています。
表面的なことだけでなく、そのシーンに込められた意味を、あらゆる表現を使ってアニメーションで示しているのです。
画面処理についての指示
もちろん絵を描くスタッフ以外にとっても絵コンテは重要な資料です。
そのカットをどう動かしてほしいのか、最終的にどう見せたいのか、宮﨑監督の頭の中にある“アニメーション”を、絵コンテから読み解くことができるのです。
こんな楽しみ方も…
劇中では直接的に語られていないキャラクターの設定や心情なども、絵コンテから垣間見ることができます。
また、カットやパートの合間には監督の落書きのようなものも……
そういったものを探してみるのも、絵コンテの楽しみ方のひとつかもしれません。
アニメーション制作の裏側を覗き見ることができる絵コンテ。
作品に対する新たな発見はもちろん、映画を観たときに知らず知らずのうちに受け取っていた巧みな演出意図に気づくことができるかもしれません。
読み物として、アニメーション制作の資料として、ぜひお気に入りの作品を手に取り、じっくりと読んでみてください。